避難所生活で揉める原因になる「音問題」の実態

騒音の悩み
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老若男女、いろんな人が集まる避難所でよく問題になるのが「音問題」。

被災したことにより気が立っている人同士、揉めてしまうことも少なくありません。

また、小さな子供連れのファミリーは自分の子供が出す音や泣き声にもヒヤヒヤしてしまうことでしょう。

この記事では、そんな避難所生活での「音問題」を深掘りします。

音の問題の3つの背景

避難所は多くの人が限られた空間で一時的に生活するため、音に関する不満が出やすい環境です。

1. 物理的な空間の特性

避難所となる場所は、体育館、ホール、学校の教室などが多いです。これらの建物は一般的に音が反響しやすい構造になっており、少しの音でも大きく聞こえることがあります。例えば、体育館のような広い空間では、人が話している声がこだまのように響き渡り、会話が終わってもしばらく残響が続くことがあります。

  • 事例: 東日本大震災での避難所の体育館では、建物が大きな空間だったため、話し声や子供の遊ぶ声が壁に反響し、夜間でも音が消えず、睡眠に悩まされる人が多かったという報告があります。

2. プライバシーの欠如

避難所は基本的にオープンスペースで、特に最初の段階では、間仕切りがほとんどなく、個人の生活スペースが共有されています。このため、他人の生活音が直接聞こえてしまう状況が生まれます。食事をする音、着替える際の音、スマートフォンを操作する音まで、細かな生活音が気になることが多いです。

  • 事例: 熊本地震の際、避難者が体育館で一緒に寝泊まりしていた状況では、夜中に隣の家族が小さな音で話しているだけでも気になり、眠れないという声が多数ありました。特に高齢者は音に敏感で、不眠や体調不良を訴えるケースが増えました。

3. 人数の多さ

大人数が一つの場所に集まるため、音が重なり合います。話し声や歩く音が一斉に起こり、ノイズが混ざり合うことによって、環境音としての音量が増幅されます。静かな場所が確保できず、個々の生活のリズムが干渉し合う結果、音が問題となります。

  • 事例: 阪神淡路大震災では、避難所での人数が非常に多く、特に夜間、いびきや寝返りの音が響き、睡眠の質が下がることが問題視されました。これに対し、当時は耳栓が配布されるなどの対策が取られましたが、耳栓を使い慣れていない高齢者にとっては逆に違和感を感じることもあったといいます。

音がもたらす、心理的影響

音に敏感になる背景には、避難生活自体がもたらすストレスや不安が関係しています。
特に災害後の避難所では、先行きの見えない不安や、周囲の人との摩擦が原因で、些細な音に過敏になることがあります。心理的な疲労やストレスが溜まると、音がより大きく感じられることがあります。

  • ストレス反応と音への過敏: 避難所での生活は、家庭や通常の生活とは大きく異なり、ストレスが常にかかります。このような状態では、通常は気にならない音でも過度に反応してしまい、心身の不調に繋がります。避難所内での音に対して苛立ちが増すと、それが他人とのコミュニケーションのトラブルに発展することもあります。
  • 事例: ある避難所では、寝ている間に他の人のいびきが気になることで不眠症状を訴えた避難者が多く、避難所内の人間関係が悪化したという報告があります。このような場合、いびきをかく人に対して不満を感じても、それを伝える手段がないため、避難者同士のストレスが増幅することがありました。

音問題」に対する、有効な対策事例4つ

1. 耳栓やノイズキャンセリングの活用

音に対する個別の対策として、耳栓の配布やノイズキャンセリングヘッドホンの使用が推奨される場合があります。これにより、自分自身が気になる音を遮断し、他人との音に関するトラブルを回避することができます。避難所生活を送る可能性があるなら、避難セットには必ず耳栓を入れておきましょう!

  • 事例: 阪神淡路大震災の際、避難者に対して耳栓が配布された事例があります。また、最近ではノイズキャンセリング機能を備えたヘッドホンが普及しており、これを利用する避難者も増えています。これらのツールを活用することで、睡眠の質を向上させたり、昼間の活動中に集中できる環境を作ることが可能です。

ただし、ノイズキャンセリングを24時間使い続けていると、耳の負担がとても大きくストレスと相まって難聴が出てしまうことがあります。なるべく耳を休ませながら、耳栓など別の方法と併用して使うのがおすすめです。

2. 空間の分割とゾーニング

避難所内での音の問題を軽減するために、ゾーニング(エリア分けのこと)が有効です。例えば、家族や子供が多いエリアと、静かに過ごしたい人が集まるエリアを物理的に分けることで、音の問題を軽減できます。間仕切りやカーテンを利用して、視覚的・音響的な遮断を行うことも重要です。

  • 事例: 熊本地震の避難所では、当初は全員が一緒に生活していましたが、後に「高齢者エリア」や「家族エリア」を分ける形でゾーニングが行われました。これにより、音に敏感な高齢者や、一人で静かに過ごしたい人たちが音から解放され、ストレスが軽減されたという報告があります。それに、子連れは子連れ同士「お互い様」と思えて気が楽だし、同じような悩みを持つもの同士で助け合うこともできます。

もし自分の避難所がゾーニングがされていないなら、避難所の管理者と話し合って、ゾーニングをお願いしてみるのも一つの手です。

3. 吸音マットやカーテンの設置

体育館など音が反響しやすい建物では、吸音マットやカーテンを使用することで音の反響を抑えることができます。これにより、会話や生活音が広がりにくくなり、環境全体の騒音レベルが下がります。

  • 事例: 東日本大震災後の仮設避難所では、音の反響を抑えるために簡易的なカーテンやパーティションを設置し、会話や足音が響きにくい工夫がなされました。これは特に、夜間の静かさを保つために効果的な対策となり、被災者にとっても寝苦しい夜が減ったという報告があります。

4. コミュニティによるルール設定

避難所全体で音に関するルールを決めることも効果的です。例えば、「夜10時以降は静かにする」「スマートフォンはマナーモードにする」といったルールを明確にすることで、トラブルを未然に防ぐことができます。コミュニケーションを通じて、みんなが共通の認識を持つことで、相互に配慮する環境が生まれます。

  • 事例: 東日本大震災の避難所では、管理者が音に関するルールを作り、張り紙をすることで、音のトラブルを防いだ事例があります。ルールがあることで避難者同士の暗黙の了解が生まれ、音に対する配慮が自然と促されました。

まとめ

日本では、これまでの震災での経験から、音問題の解決法についてもたくさんトライ&エラーを繰り返してきました。

ストレスが高まっている状況だからこそ、お互いに配慮して、かつ「お互い様」という気持ちで過ごすことが大切になりそうですね。

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